[ 定昇廃止論について −「定昇廃止」と「一律な定昇廃止」は違う]

 3月(平成16年)になり、春は春闘の季節です。労働組合の組織率が2割を切っても(19.6%)、わが社に労働組合が無くても、この時期は年に一度、企業経営とそれを支える人的資源についての課題を考える節目であり、また賃金の決定要因の一つである「相場」が形成される重要な季節です。(他の要因は「生産性」=なんぼ儲かったか、「生計費」=その賃金で人並みに暮らしていけるか)
 
 本年度の日本経団連の論調は「一律的なベースアップは論外であり、賃金制度の見直しによる属人的賃金項目の排除や定期昇給制度の廃止・縮小、さらにはベースダウンも労使の話し合いの対象になりうる。」と昨年より一歩踏み込んだものとなっています。
 これに対して連合は「われわれの我慢も限界にきている。(中略)これが現実のものとなれば、経済回復の芽は摘まれ、わが国経済は確実にデフレスパイラルに陥る。」 と反論しています。

 定期昇給(以下、定昇)とは、賃金表を昇るなど、全員が対象となるルールに基づいた昇給のことです。(それ以外は昇格昇給、昇進昇給(=役職手当)など。)
 注意すべきは、昨今の「定昇廃止」というスローガンです。そういった事例の中身を見ると、ほとんどが、評価にかかわらず自動昇給する年齢給などを無くしたり(それでもさらに、若年層の特例があるところがあります。新聞には書いてないことです。)、評価による標準昇給の下駄履き部分を縮小したりという「一律な定昇の廃止」であって、定昇そのものを完全に無くすものではありません。

 そして、たとえ定昇を凍結しても、賃金表のない範囲職務給などで原則として定昇制度を無くしても、現実に、初任給202,514円と40歳標準者431,878円(日本経団連100人未満大卒)の間には52度の角度が、また生計費の面からも18歳153,749円と40歳339,439円(負担費修正)という40度の角度が存在します。
 若い人が先輩や上司の「実力と処遇と生活」を目指していくという、広い意味での「定昇問題」は、会社の秩序を維持する上で、避けては通れないものです。