[ 若手の登用を ]

 今年の春闘は大手組合がヤマを越して、今頃は中小企業が交渉が本格化しているころです。組合のない会社や事業体もそれらの動向を見ながら「さて、どうしょうか」という季節です。(平成16年4月)

1.04春闘中間集計は、けっこうしょっぱい・・・
 連合が4月14日に集計した今春闘の中間集計では
425社、平均賃金方式で加重平均1.72%−5,382円(昨年1.67%−5,205円)です。
 また日本経団連が21日現在でまとめた中間集計では、平均額がわかる大手112社、加重平均で1.59%−5,246円(昨年1.62%−5,246円)、
中小企業(従業員500人未満)は83社、1.44%−3,791円(昨年1.39%−3,662円)です。
 ちなみに、今年のあるべき定昇(現状の若い人からその先輩の賃金を結ぶ角度)はおおよそ1.7%です。
 「景気回復基調」のなか、「それが雇用に反映していない」「景気回復『感』がない」と言われるとおりに、厳しいものです。
 また、「大企業中心に業績回復の兆し」のわりには意外にも「大手苦戦、中小善戦」という状況です。
 大企業については、前号で述べたトヨタショックの影響があるのでしょうか。確かに先行き不透明な中、しかも社会的に経済成長と言うにはほど遠い中、「短期の業績は短期の反映(賞与)に」は理の当然なのかもしれません。数字もさることながら労使の納得と展望が大切です。
中小企業は・・・善戦と言うよりは、これまで低すぎた感があります。ある程度の昇給圧力はあったと思います。また、業績や企業体力の良いところから妥結していきますので、集計は最終集計に向かうにつれて下がっていくものです。

2.賃金決定の原則
 このような春闘相場を参考にして、賃金を決定していく際、パーセントをそのまま「かけ算」してはいけません。それをすると今現在の賃金の高い人が有利に、若年層など、低い人が不利に、ますます賃金カーブが立っていきます。しまいには飛行機ではなくロケットのような、怖ろしい・・・2次曲線になっていきます。
相対的に、若年者は底に溜まっていきます。
 いつも「賃金カーブの修正を」と申していますが、実態上、成長期やバブルの影響、そしてバブル崩壊後の、この15年の低迷で、とても歪んでいる場合が多いのです。
 賃金表があればカーブが歪むことはないのですが、その場合も「昔」の賃金テキストやモデル賃金表どおりに、上位に行くに従って昇給ピッチ(号俸差額)がアップするものを、しかも人事考課なしに運用(自動昇給・昇格)している場合があります。
 「かけ算」は全体原資を経営的な観点で考える際にするもので、基本的には個別に「足し算」(一部、年齢階層やその他等級・組織上の階層別に「かけ算」併用)をして、最終的にその合計が最初の「かけ算」の結果に合っているかを見ます。
 人事考課制度のあるなしにかかわらず、人事の究極は、「人」を個別に考えることです。
 また、同じような数字のマジック的な問題から、社会的な相場は、社員の平均年齢が高い会社はマイナスして、若い会社はプラスして考える必要があります。
 若い・高いの分岐点は今35〜38歳くらいです。

3.若手の活用を
 たとえ「定昇ストップやむなし」としても、若年者には配慮していただきたいと思います。人それぞれどう生きていくかは様々ですが、標準生計費は20代から30代前半までは容赦なく上昇していきます。
「パンのみの為に生きるにあらず」というのは人事・労務管理、と言うより「人に働いてもらう」上での極意とも言えることですが、「食っていけなきゃ・・・」会社を出ていくか、乃至は・・・ムダな残業代を稼ぎはじめることになるでしょう。それは企業力を落とすことです。
 もちろん、生計費の上昇に伴って、タダあげろということではありません。賃金は社会保障ではありませんので。結果すなわち短期的業績だけではない企業の成果と本人の成長に向けた課題と目標を与えて、経営から本人への最高の信号「メッセージ」として、賃金を使うのです。

 顧問先様のなかでも、好調なところは、若手の登用に成功した企業・事業体です。