[ やる気はどこにあるか − 青い鳥はどこにあるか?]

 彼は、何をしに行ったのでしょうか。
 ボランティアとか取材とかの仕事でもなく、お金も持ってなく・・・。(そう思って、書き始めているうちに、あまり考えたくないような、悲惨な結末になりました。しかし)
 
1.自分探しの旅
 「何をしに」という目的が「ハッキリしているなら苦労しないよ」と言うところでしょうか。
 でも、「何をしに来た」と聞かれて、そこで何かを、○○と話したとしたら、よけい憎まれたことになったかもしれません。
 決して、バッシングのつもりではありません。
 テロに屈しない!とか、自衛隊に賛成とか反対とかの話しでもありません。
 それは「自分探しの旅」というものについてです。
  自分の○○はどこにあるだろうか。
  少なくともここではない。
 そう考えて、人は旅に出ます。そして、苦労して、お約束の結末は
  青い鳥は 自分の家にあった。
 でも、それは場所のように見えて、もともと空間的な概念ではないのです。

2.顔をなくした男
 子供の時に読んだ話で(イソップか神話か仏典か)
「顔をなくした男」という話しがありました。
「顔がなくなった! 顔がなくなった!
誰かに盗られたんだ!呪われて消されたんだ。」
「汝は、どうしてそう思うのか?」
「なぜなら・・・俺には・・・俺の 手も・・・腹も・・・足も見えるのに、俺の顔は見えない・・・・・・」
 ありそうなことで、少なくとも笑える話しではありません。
「汝が 今 両手をあてているものは何か?」
そのような言葉よりも
「うったら難しいこと言っとらんで、その寝ぼけ顔洗って、自分のマンマくらい、自分で稼いでこいや・・・」
という、オジサン言葉のほうが高級かもしれません。飯食うために働くのは卑しいことではありません。

3.苦労した甲斐  何かの組織とか・・・会社とか・・・
今いる場所がほんとうにいやなら、やめればよろしい。(「イヤならやめろ!」社長から、そうは言わないでください。別なモンダイになりますので) 
 その会社に問題があるとか、もうその会社にいても将来はないとか、そのように会社と本人の関係の問題もあるでしょう。しかし、ここで私が「やめればいい」という趣旨は、本人の問題です。それが大半です。
「人間・・・一度キライになったものを好きになることは難しいでしょう」という程度のことです。
 ただし、他に良い場所があるかというと、決してそうではありません。やめて、新しい場所で刻苦して、上手くいくことはあります。人はその時、「苦労した甲斐があった」と思います。そして、ふと「前の会社でこれだけ苦労したら、たぶん上手くいったろうな」とも思います。その場合は結果オーライで、「前の会社は、俺をやる気にさせてくれたんだ」と深く感謝すべきところです。
 楽して 上手くいくところなんざ・・・あるわきゃありません。
  
4.能力←行動→成果

 能力を発揮した行動(仕事)がある。その行動によって成果が生じる。そのように「能力→行動→成果」と総合的に捉え、それを繰り返していくことを、私は賃金論で「総合成果主義」とか「ほんとうの成果主義」とか呼んでいます。
 ではその能力の根源は何でしょうか?難しいことではなく、私は、一言で言えば「やる気」と考えています。
 ではさらに、成果を生み出す行動をするための能力は、その根源の「やる気」は、どこから来るのでしょうか?それは、行動からきます。行動するための能力は、一面、行動から生まれるのです。持って生まれた才能とか、そんなこと言っちゃオシメイです。
 それにて知るべし。そんな立派な自分なんて、最初からあるわきゃないのだから、探したってムダです。
オンリーワンの自分があるから生きていける というのは転倒。

5.ボブ・サップはデクのボーである

 ある少年とオジサンとの会話(2年前の大晦日)
「ボブ・サップって凄いよね。強すぎるよねー」
「彼は・・・ただ、頭が良くて、体が大きくて、パワーとスピードがあって、運動神経が良いだけの人だよ」
「スポーツ選手なら・・・それで充分じゃないですか」
「いや、彼はそんなに強い人ではないと思うよ・・・」 
(少年よ・・・才能の総和が全てではない)
この伯父の言葉は、その後 ボブ・サップ自身の「ボク、痛いのキライ!」という言葉で証明されたのであった。
 
6.ある奇跡の花

奴は・・若い 強い40連勝 
    勇敢で 相手を恐れることを知らない
俺は・・王座剥奪後5年の復帰戦で
    チャンピオン、フレージャーに判定負け
奴は・・フレージャーを2回KOで戴冠
    飛び抜けたパワー 殺人パンチ 史上最強
    (公開練習でサンドバッグを叩くと、そこが凹んだままになっている・・・)
    軽快なフットワークさえある
俺は・・さらに3年半のブランク
蝶のように舞・・・蜂のように刺す 全盛期は過ぎている

奴は・・俺より数段強い!・・・俺は・・・
俺は 美しい ハンサムだ
    ・・・奴はブタ野郎・・・
俺には 黒人としての誇りがある
      ・・・奴は白人のポチ野郎・・・
(そして 試合会場であったキンシャサの・・・いや アフリカ中の・・・世界中の黒人は 彼の味方だった。)
「アリ!ボムマイエ! アリ!ボムマイエ!・・・」 
俺は・・・彼らのために勝つ・・・

「アリは足を使って逃げ回って、やがて捕まって、チャンピオンに壮絶にノックアウトされるだろう。」誰もがそう思っていた。
 しかし大方の予想を裏切って、アリは試合が始まると、足を使わず、ロープを背にして、そのままサンドバックのようになっていった・・・・。 
 嵐の中で翻弄される蝶のように苦しみながら、
アリは ある時を 待っていた。
待ちながら、連打するチャンピオンに囁いていた。
「・・・このブタ野郎
 ・・・このポチ野郎・・・まだ俺を倒せないのか?」
 激憤するチャンピオンの殺人パンチが、さらに激しさを増していき・・・。意識が遠のいていった。
 ロープが、チャンピオンの殺人パンチの衝撃を、わずかに・・・吸収していた。

5回残り40秒。 待っていた時がきた。
チャンピオンは 一瞬  
@全く反撃しないアリに油断して
A打ち疲れて
B最後のとどめを刺そうとして
後ろに引き、ガードを下げ、再び前に出ようとした。

7.活きた能力

 そうしてアリは「勝ち」ました。世界中が感動しました。もっと驚くべき事に、奇跡は作戦に含まれていたと言うのです。
 偉大なるアリは「勝とう」としていました。
 活きた能力(コンピテンシー)の根源は「やる気」です。
 その「やる気」は、「個人の意識の問題だ!」などと言うダメ管理職の脳停止したようなものではなく、具体的に、「ヒトサマ」からいただいたものである場合が多いのです。それを自覚的に増幅できるか否か。それまた、才能といえばそれまでですが、それは「いただく」ことも「与える」ことも、できるものです。
 それに気づいて、人は活きていきます。青い鳥です。

8.続・奇跡の花

 24歳で、アリに奇跡を献上したジョージ・フォアマンは、その後、どん底に墜ちました。3度の離婚で財産を失いました。牧師になり、恵まれない子供たちのために「青少年センター」を設立しました。その運営のために、講演をして寄付をお願いしました。彼はとても惨めな思いをしていました。講演にくる人々もまた、貧しい人たちだったからです。
 37歳の時です。「(青少年センターの)あの子たちは俺を必要としている。だから俺は彼らを見捨てはしない。なんとか他に金を集める方法を考えよう。その時、俺の中にある考えが浮かんだ。お金の儲け方なら知ってるじゃないか。世界ヘビー級チャンピオンになるんだ。もう一度・・・」
 神に仕えるフォアマンは、相手痛がるからと、なるべく殺人パンチは使わずに、相手を良く見て、重いジャブを何発もぶち込んでKOするボクサーになりました。
(そのほうが、私は痛いと思うのですが・・・)
 「(獰猛なファイターであった)古いジョージと新しいジョージが戦えば、新しいジョージが勝つだろう」と、本人は断言しています。
 41歳で、タイソンの後、統一世界チャンピオンになったイヴェンダー・ホリフィールドに、惜しくも判定負け。それでも、彼はあきらめませんでした。
 44歳で、トミー・モリソンのもつWBO世界ヘビー級タイトルに挑戦、判定負け。 それでもなお・・・
 45歳で、マイケル・モーラーのもつ、WBA・IBF世界ヘビー級タイトルに挑戦し、10ラウンドKOで勝利。史上最年長の世界ヘビー級チャンピオンになりました。史上最強といわれたチャンピオンの座から転落して、21年経っていました。

9.敗れざる者      
ジョージ・フォアマンが、再びボクシングを始めた時、多くの人々は「青少年センターのため」「子供たちのため」なんてキレイごとで、「本当は食っていくのに困ったからだろう。」と言いました。(実際。彼は自分の年金の積立にまで手を出していました。)
それはそれで大いに結構。世に「金のため」にいろいろする人は多いのですが(「オレオレサギ」とか「架空請求」とか)、それはどこまでハングリーをしてのことでしょう。同じ「金が欲しい」と思っても、彼には食うためばかりではなく「ミッション(使命・目的)」がありました。
アリが奇跡を起こしたとき、それに注目していたアフリカの人々、そして世界中の"黒人"が彼の味方でした。21年後、今度は全ての観客がフォアマンの味方でした。
「観客たちにとって、俺は"中年"というレッテルを貼られるのを拒否した男、彼らの
代表者だった。」
「俺は、ただ、彼らの愛情が嬉しかった。」

ジョージ・フォアマンは勝ちました。
「こんなに大勢の人が喜んでいる姿を見たことがない。」
「勝利は彼ら全員のものだった。」

青い鳥ではなく、彼自身が火の鳥でした。

勝利の後、フォアマンはサインを求められると、自分の名前と共に、こう書き添えるそうです。『 You can 』
この稿 続く