[2006年の黙示録]

大仰なタイトルです。昔、映画館で見た『地獄の黙示録』を思い出します。マーロン・ブランドがベトナムの奥地で「ハラー・・・(恐怖)」と呟いていました。将来、イラクはどのような映画になるでしょう。余談。

1. 2005年の春

さて、2005年度になりました。今年度がどのような年であるか。それは2006年度の前年度ということです。あたりまえといえばあたりまえ。
今日も明日も、そして来年の今月今夜も、人間も、組織も、「大して変わらないよ」と認識する限り、大したことではありません。今年60のAさんが61になっているだけのことです。

2.エスカレーター・エフェクション

賃金カーブ(縦軸−額、横軸−年齢)はエスカレーターに喩えられます。毎年、「足下にお気をつけください」と言われながら若年者が乗り、また「足下にお気をつけください」と言われながら定年退職者が降りていきます。そのように時間とともに誰もが入学して、登って、卒業していきます。賃金は上昇していきますが、マクロで見れば、また重厚長大な企業にとっては、エスカレーター自体は固定されていて、原資は増加しないと言う、歴史の短い中小企業にとっては魔法のような話しです。これは賃金・人事の基本です。
人口構造が一定であれば理論的には平均賃金は上昇しないことになります。エスカレーター自体が動くのはベースアップ、あるいはベースダウンです。そのように登るのを「定昇」といいます。
もちろんボケーとして乗っていて良いものではありません。賃金は労働の対価ですから。早く進む人も、遅く進む人も、中2階止まりで、2階や3階に行けない人もありえます。
昨年テレビで、どこかの大学教授が将来の年金と現役世代の平均年収との問題で「国民の(平均)賃金というものは、毎年平均2%は上昇していくものだ!」と言っているのを聞いて「このような知識のない知識人が日本を狂わせていくのだなぁ。」と思いました。
事実としては、ここ数年、エスカレーターはビルと共に地盤沈下しています。

3.超エスカレーターの延長

2006年度には、既報の通り、高年齢者雇用安定法により、定年延長等がとうとう「義務」になります。
これまでエスカレーターから降りていた人は、もうしばらく乗っていることになります。少子高齢化(それは真実です。)、将来の労働力の減少に対応(ほんとうか?85万人もニートがいて)、60歳前半年金の支給開始年齢のセットバック&やがての消滅(それは既定の事実)に対応していくために、です。
ところで、年齢別の就労人口にその平均年収を乗じたものを「原資カーブ」とします。問題は若年者よりも高年齢者のほうがはるかに賃金は高く、若年者よりも高年齢者のほうがはるかに就労人口は高いということです。雇用延長とはその超右肩上がりのエスカレーターが延長するということです。横にあがる超ベースアップ。恐るべき原資増+それにも増して、若年者の雇用が何年代にもわたって、深刻な影響を受けることになります。
昔のイギリスならば暴動です。パンクして、ロックして、石投げて「ロンドンに火をつけろ!」です。
日本の若者は・・・ケータイ片手に、冬のリスのように大人しい。または「オレオレ」等、陰湿極まる悪行三昧。
個々の企業に日本を救うためにという大義で「雇用は延長しろ、若年者は雇え」と強いることは出来ません。しかし原資増の問題だけではなく、技術・ノウハウや人事の断絶(やっと若いのを入れたと思ったら、本人にとってその同僚はみな父親・母親より年上等→悪循環)、そして時間とともに企業のエネルギーが低下していく・・・これらの問題を避けることはできません。
なんとしても、定年延長をしてはいけません。
定年延長「等」=継続雇用制度でなければなりません。そして(古くからの阿世賀事務所の顧問先様ならば、おわかりでしょうが)団塊の世代が60歳のボーダーを越えようとしている、今こそ、在職老齢年金(この4月よりアップ)と雇用継続給付の併給により、本人の手取りをある程度確保しつつ、賃金を思いっきり下げて、その余剰原資で若年者を雇うことをお勧めします。

この稿続く  (阿世賀 陽一)


<予告> 
で、その若年者は?「ゆとり教育」の申し子・・・