賃金設計、若年労働者の活用等からみた


「雇用延長時代」の高年齢者の雇用&処遇

[論考:高年齢者雇用確保措置と年金]

 この論考は東京都社会保険労務士会登録自主研究グループの「人事労務のための年金研究会」のメンバーにより作成されたものである。
「人事労務のための年金研究会」は、同自主研究グループの「賃金管理研究会」の会員有志でスタートしている。「賃金管理研究会」では、「賃金」に焦点を当ててあらゆる角度から研究を重ねているが、60歳前後からの雇用における賃金を考えるとき、年金を抜きに語ることはできず、度重なる改正で複雑化した年金制度について、本格的に研究をする必要性を感じて、この度「人事労務のための・・・・・」というテーマに的を絞った研究会を立ち上げた。
 バブルがはじけて10余年、低迷経済に少し明るさが見えてきた2004年6月5日「高年齢者雇用安定法の改正法案」は、「改正年金法」と時を同じくして第159回通常国会で可決・成立し、「高年齢者雇用確保措置」は、2006年4月施行が確定された。

 雇用延長の背景には、一つは少子高齢化による労働力人口の減少に伴う高年齢者労働力活用の必要性、二つ目は年金支給開始年齢の引き上げによる年金空白期間の収入確保、加えて社会保障制度の支え手の確保があると考えられる。
現行60歳定年制に至るまでには、約30年の歳月を要した。今回の65歳までの雇用確保については、1990年頃から検討が開始され、2006年の義務化まで16年を費やしている。60歳定年制導入と比べて半分の年月であり、2倍の速度で進んだことを意味している。

 2007年から2009年にかけて、1947年から1949年生まれの団塊の世代が定年を迎える。すでに、60歳代の年金は、満額支給の開始年齢が65歳に向けて動き始めている。今のままでいくと、そう遠くない将来、年金支給開始年齢の65歳までの間、無年金状態と言われる空白期間が生じるときが来る。この間の収入確保のために、60歳代前半の高年齢者の雇用機会の確保が緊急課題となっている。
しかし、企業にとっては、両法律の改正は人件費負担増加につながり、高年齢者に引き続き働く機会を提供することは、新卒・若年者雇用の機会を狭めるという表裏一体の問題を抱えることになる。
「企業は2006年に向けて、60歳以後の雇用についてどのような対策を講ずべきか」、また、「社員は、定年後を視野に入れたライフプランをどのように設計すればよいのか」、これは、大きな問題である。
1994年の年金改正法(60歳引退社会から65歳現役社会へ)以来の在職老齢年金、同年創設の雇用保険の「高年齢者雇用継続給付金」(2003年5月改正で最高25%から15%に削減)の活用等を考慮しながら、2006年4月施行「高年齢者雇用確保措置」を目前にして、「今後の課題」に焦点を当てて考察していく。

*日本法令「ビジネスガイド」2005年9月号に掲載された「賃金設計、若年労働者の活用等からみた『雇用延長時代』の高年齢者の雇用&処遇」の元原稿です。

論考:高年齢者雇用確保措置と年金(PDF)

人事労務のための年金研究会
企画・監修:阿世賀 陽一
執筆:今井 由美子、中山 千加子、松野 誠一郎、長谷川 吉保、佐藤 元明、杉坂 恵美子、阿世賀 陽一