高齢者雇用の青天井回避

1.定年後雇用+有期5年超=終身契約

 平成25年4月1日の改正労働契約法によって、有期契約社員と5年を超えて契約更新すると、その労働者に「無期転換申込権」が生じることになっています。
 そして、同年の改正高年齢者雇用安定法によって、60歳定年から65歳までの5年間は、原則として、継続雇用しなければなりません。
 無期労働契約とは、一般的には「定年まで」ということです。定年を超えた継続雇用の高齢者に、さらにこの5年超無期転換ルールが適用されると「青天井」、ほんとうの「終身」契約になってしまいます。

・第2定年制を定めるしかない(しかし、法律的に有効であるかはわからない)。
・最大限5年ピッタリで退職していただければよい。
・しかし、もう少し働いてもらいたい場合もある 等

 そのようにお悩みの方も多かったと思われます。
 いずれ法律でなんとかなると思っていましたが、平成27年4月1日に、この無理のある「合わせ技」を回避できる有期雇用特別措置法が施行されました。
 
2.有期雇用特別措置法による特例 

 この法律の施行により、

(1) 年収1,075万円以上の医師・弁護士・公認会計士・社会保険労務士・一級建築士等の「高度専門職」の5年を超えるプロジェクトの期間に対する特例(該当者がいればご相談ください)
の他、前述の
(2) 継続雇用の高齢者
については「適切な雇用管理に関する計画」を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主及びそのグループ会社に定年後引き続いて雇用される期間は、「無期転換申込権」が発生しないということになりました。
 定年後5年間継続雇用した65歳以降は、通常の有期契約を必要に応じて更新できると言うことです。
 グループ会社とは、(1)元の事業主の子法人等、(2)元の事業主の親法人等、(3)元の事業主の親法人等の子法人等、(4)元の事業主の関連法人等、(5)元の事業主の親法人等の関連法人等です。
 定年を既に迎えている方を雇用する事業主が認定を受けた場合、そうした方も特例の対象となります。ただし、労働者が既に「無期転換申込権」を行使している場合を除かれます。
 定年後に同一の事業主に継続雇用され、その後引き続いてグループ会社に雇用される場合も、特例の対象となります(通算契約期間5年のカウントについては、同一の使用者ごとになされるため、そのグループ会社に雇用された時点から新たに行われます)。

3.適切な雇用管理に関する計画認定 
 
特例の認定を受けるには、
(1) 65歳以上への定年の引き上げ、または
(2) 継続雇用制度の導入
という高年齢者雇用確保措置を講じている事業主が次のいずれかの措置を実施することが必要です。

[1] 高年齢者雇用推進者の選任
高年齢者雇用確保措置を推進するため、作業施設の改善その他諸条件の整備を図るための業務を担当する者として、知識・経験を有している者

[2] 職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
高年齢者の有する知識、経験等を活用できるようにするための効果的な職業訓練として、業務の遂行の過程外における教育訓練の実施または教育訓練の受講機会の確保

[3] 作業施設・方法の改善:身体的機能や体力等が低下した高年齢者の職業能力の発揮を可能とするための
・作業補助具の導入を含めた機械設備の改善
・作業の平易化等作業方法の改善
・照明その他の作業環境の改善
・福利厚生施設の導入・改善

[4] 健康管理、安全衛生の配慮
身体的機能や体力等の低下を踏まえた
・職場の安全性の確保
・事故防止への配慮
・健康状態を踏まえた適正な配置

[5] 職域の拡大
身体的機能の低下等の影響が少なく、高年齢者の能力、知識、経験等が十分に活用できる職域を拡大するための職務の再設計などの実施

[6] 知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
・高年齢者の職業能力を評価する仕組み
・資格制度、専門職制度 などの整備

[7] 賃金体系の見直し
高年齢者の就労の機会を確保するための能力、職務等の要素を重視する賃金制度整備

[8] 勤務時間制度の弾力化
高齢期における就業希望の多様化や体力の個人差に対応するための勤務時間制度の弾力化(短時間勤務、隔日勤務、フレックスタイム制、ワークシェアリング等)

 高年齢者継続雇用を実施している事業主は、「無期転換申込権」が発生してしまうまでに認定申請することをお勧めします。顧問先様は、ご相談ください。

(阿世賀 陽一)