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インフルエンザによる自宅待機Q&A

Q:インフルエンザの流行を受け、会社としても社内での感染、まん延を防ぐため、対策を講ずる必要があります。インフルエンザは熱が下がってからも2日位は人に感染することがあると聞いたので、熱がある間と熱が下がってからの2日間を自宅で療養(待機)させたいと思うのですが、この自宅療養(待機)期間は無給としても良いでしょうか?

A:自宅待機をさせた日に賃金を支払わないことが可能なのは次のいずれかに該当する場合に限られます。

 @感染症法その他の法令により就業制限措置が講じられた場合
 A労働安全衛生法に基づく就業禁止として自宅待機を行った場合

 @又はAによる自宅待機は、法令を遵守するためのやむを得ない休業となりますから、労働基準法第26条による「使用者の責めに帰すべき休業」には該当しません。したがって、@Aのどちらかに該当する場合には、自宅待機日について賃金を支払わなくても良い(無給)、ということになります。

 上記@について現在は、結核は結核予防法、結核を除く感染症は感染症法により分類され、その区分に応じて、国などが行う措置(入院や就業制限など)および知事命令発令権を定めています。既存インフルエンザ(新型インフルエンザ以外を指します)について実施される措置は、発生状況の収集、分析と結果の公開、提供とされていますから@には該当しません。

 また、上記Aについては労働安全衛生法第68条では、事業者に対し、一定の場合に就業禁止を行うことを義務づけています。就業禁止の対象となる疾病の1つに「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者」がありますが、就業禁止を実施する場合には、あらかじめ産業医その他の専門医の意見を聴くことが義務づけられています。しかしながら、感染症法による就業制限措置や入院措置が講じられる感染症は、労働安全衛生法に基づく、就業禁止の対象とはなりません。感染症法による就業制限措置の対象とならない分類の感染症も、感染の危険性が高まれば指定感染症への引き上げが行なわれるため、基本的には、労働安全衡生法に基づく、就業禁止の対象となることは難しいといえます。

 インフルエンザが「新型インフルエンザ」であった場合であって、国が「新型インフルエンザ対策行動計画」(平成17年11月)で定めた「フェーズ4B」を発令しているときは、新型インフルエンザ患者やその疑いのある者に対して入院勧告や発生地域の企業に対して新型インフルエンザの症状が認められる社員に出勤停止や受診勧告を行いますので、国の勧告に従い、感染者やその疑いのある社員を自宅待機させる場合は、休業手当等の支払いは不要となります。
 また、国が「フェーズ4A」を発令している場合は、国内流入を防ぐため、発生地域からの入国者に対し質問票や診察で患者を振り分けることがあります。そこで新型インフルエンザの患者の疑いがあれば検疫法に基づき停留、患者と確定されれば入院勧告が行われますので、この措置によって海外から帰国した社員が停留または入院となり、出社できない期間は休業手当等の支払いは不要となります。

 上記ケース以外で、会社が独自の判断で国の措置を超えて、社員に自宅待機を命じる場合には、無給にはできず、最低限、休業手当を支払わなければなりません。
 政府の発表に注意し、医師の診断による療養、医師の診察・指示による保健所での診断、年次有給休暇の勧めなど現実的な個別対応が必要です。


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