[ 賃金管理研究会の活動 ]

代表世話人 : 阿世賀陽一(城西統括支部・新宿支部)
事務局長 : 石井 達也(城東統括支部・足立・荒川支部)
連絡先 : E-mail ttishii@nifty.com(石井)

 賃金管理研究会は、東京会が労務管理を中心にその職域の拡大を図ることを目的に自主研究グループをスタートさせた1984年に創設され「日本の中小企業に人事賃金を普及させる」ことを志し、東京会会議室で月に一度の定例会(平日14:00〜17:00)と年に一度の合宿(9月)を行っています。メンバー数は現在37名。年会費は6,000円です(年の途中で入会した場合は、月割にて徴収)。
 入会は、随時受け付けております。初心者歓迎(1回目は「見学」としてもOK)です。上記E-mailアドレス宛て、ご連絡ください。

活動内容

 現在、混迷する人事賃金思潮を整理するため、体系的にヒューマン・リソース・マネジメントを学ぼうと『HRMマスターコース−人事スペシャリスト養成講座』(青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授 須田敏子著−慶應義塾大学出版会)の講読を中心にして、毎回具体的な人事賃金の実務研究・実例発表を行っています。

活動報告

 「人事考課Q&A−150の問いに愛を込めて」
 賃金管理研究会のメンバー有志は、2005年から3年間、それまで人事考課の経験が全くなかった社会福祉法人に人事賃金制度を導入するコンサルティングを実施しました。その後も、特に人事考課についてのアドバイスを求められ続け、10年目になって150のQ&A集(43ページ)になったので、2014夏季合宿で新人を含めて人事考課の基本から実務的な応用までを確認しました。以下はその抜粋です。


[Q] 私たちのような福祉の世界で、正しい評価など可能でしょうか?
[A] 上からの一方的な査定をするというなら、確かに(これまでどのような方法でも上手く行かなかったように)このような業種では困難なことでしょう。今回導入された人事考課の方法は、各人の仕事の成果を本人が下から自己申告して、アカンタビリティー(説明責任)を果たすという方法です。第一次考課者個人の捉え方だけで評価がされないよう考課者調整会議によって公正さを担保していきます。

[Q] 私たちに営利企業のような「成果」などあるのでしょうか?
[A] P・F・ドラッカーは、「成果」を「顧客の生活が改善されることである」と定義しています。その意味では、お金−利益を介在させない、純粋な、ほんとうの成果主義は、皆さんのうちに在るのではないでしょうか?

[Q] 部下を「Aだ」「Bだ」「Cだ」と安易に評価して良いのでしょうか?
[A] 安易にAをつける人は「寛大化傾向」。甘いということ。期待水準が低いということ。部下に尊敬されない上司です。安易にBとつける人は「中心化傾向」。人事考課をやっていないのと同じ。部下を見ていないということ。上司失格です。安易にCとつける人は、「指導力がない」と言うことです。
(それじゃ・・・・どうしたらよいのですか!)
 安易にではなく、真摯に評価してください。それは、本人のためであり、法人のためであり、また自分自身の成長のためでもあります。

[Q] ヒットよりもホームランの方が、評価は高くなるのでしょうか?
[A] ホームランとは飛距離(成果の大きさ)ではなく「1人でバットを振って点を入れる」ということです。ヒットとは塁上に仲間がいるか、または自分がいて、なんらかの「協力があって点が入る」ことです。福祉において、チームプレーによるヒットはとても大事なことだと思います。また、それがなかったら負けていたというファインプレーやスーパーセーブ(事故防止)もあることでしょう。

[Q] 給料に跳ね返るシステムでしか、人は動かないのでしょうか?
[A] 人の行動を動機付けるものは、もちろん金銭だけではありません。むしろ金銭を介在させない、趣味や恋愛やボランティアの方が人を熱く動かす例は多いでしょう。
 しかし、世にパートタイマー管理職は存在しても、ボランティアが管理職になることはありません。それは責任の違いです。自分が有する「義務と権利」は動機付け要因になりにくいものですが、他者との関係における「責任と権限」は間違いなく動機付け要因です。任された責任ある仕事に対する「働き」は、評価されることによって、「達成・承認」といった動機付け要因になります。
 「賃金」とは、責任ある労働契約関係にあっては、その労働の対価、尊い価値そのものなのです。

[Q] 同じ等級のなかで、確かに見劣りする者はいるのですが、Cをつけるともっとダメになってしまうのではないかと心配です。部下にCをつけると言うことは、とても勇気がいることだと思います。
[A] あなたは、もうその部下を、実際に評価しています。あなたは、その部下に不足を感じ、どこが足りないかわかっていると言うことでしょう。そのような部下には、不足点を指摘し、次期はBとなるように、その次はAとなるように、そしてその次には昇格していくようにと願って、勇気ではなく、「愛を込めてC評価」をつけ、指導してあげてください。

[Q] 考課対象者で「愛のあるC評価をした方が伸びる人」「プライドが高くて、低い評価では納得しない人」という個人差がありますが、施設長として、それ考慮する必要があると思うのですが?
[A] そのような個人差を考慮した評価をしたとしたら、それはとても不正義なことです。人事考課の私物化です。あなたの自己保身です。あなたの悩みの種になる勘違いした問題職員をつくり、また真摯に努力できる人を結果的に貶めることになります。それは全ての人に不幸なことです。

[Q] 上司の評価コメントはどのように書けば良いでしょうか?
[A] 良かったところを誉めるだけではなく、期待に対する不足点を、「愛をもって指摘」してください。職場において「愛」とは、次の期にその成長を「期待」することです。それは、考課者調整会議において、あなたの評価に説得力を持たせます。そこに育成方針が加われば、もうあなたは、「大主任」です。

[Q] 部下と面談をする上で、ここは必ず見てあげるというような、コツを教えてください。
[A] 面談は「見る」のではなく「聴く」のです。焦らないで、ボールを相手に持たせて、投げ返してくるのを待つのです。わからないことを聞くことは「質問」です。わかっていても相手に話してもらうためにすることを「発問」と言います。「見る」のは、日常のマネジメントのコツです。

[Q] 3等級になれば、主任になれるのでしょうか?
[A] 主任という役職に就くこと「昇進」は組織ニーズであり、本人の実力アップ「昇格」にそのまま連動したものではありません。人材育成の観点から、基本給は本人の成長にこそ連動すべきものです。役職手当は適正に分離しています。実力等級の昇格が昇進の必要要件になるということはありえます。

[Q] 「愛あるC」できていない事をきちんと伝える、できるように導くことの大切さを学びました。今年度より3等級になりましたが、同時に自分自身が等級の期待レベルに達していない事を痛感しています。今日のお話の「何を・どうして・どうなった」とプロセスと成果のある仕事をしていきたいのですが。
[A] 昇格、おめでとうございます。3等級になったならば、その「何を」に「部下を」を含めてください。


 研修アンケートと質問を読ませていただきました。皆さん、真摯に受講していただき、講師としてこれに勝る喜びはありません。いや、ありますね。それは、皆さんがこの研修を糧に、人事考課の実践を通して、成長していくことです。それは、人事考課−人材育成が成果をあげているということです。